『ムッソリーニとお茶を』

Tea with Mussolini (1999) / 監督: フランコ・ゼフィレッリ

マギー・スミスの演じる気位の高い老婦人とシェールの演じる大らかな女性が、それぞれイギリス人とアメリカ人を代表する。このふたりを軸にして、戦時下のフィレンツェを舞台にした人情話が展開される。

老監督が自身の少年時代を思い出しながら撮った作品のようだし、まあ良い話なのだろうけど、ファシストは悪で自由と芸術を擁護する者は善、という今となってはありきたりな図式にもとづいた話なので少々物足りない。画面の感じも映画というよりTV番組のような奥行きに見えた。

フィリップ・ド・ブロカの『陽だまりの庭で』みたいに、「戦時下のちょっといい話」と見せかけてなぜかロリータ礼賛映画になる、というような意表を突いた話のほうが見ていて面白い。