『ミドルセックス』絶賛とトルコ包囲網

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ジェフリー・ユージェニデスミドルセックス』がhttp://bm.que.ne.jp/log/?date=20040705#p01で褒められていて、面白い小説なのにあまり読んだ感想を見かけなくて残念だなと思っていたので嬉しい。

他で僕が感想を見かけたのはhttp://park8.wakwak.com/~w22/499.htmくらいだろうか。

ちなみに僕の書いた感想はhttp://mezzanine.s60.xrea.com/archives/200405.html#30_t1に格納しています。題名や設定からジェンダーの問題が前面に出てきそうに思えるかもしれないけれど、それ以上に個人の視点から20世紀を総括する小説として面白かった。

あと、主人公の自伝と見せかけて主人公自身が生まれるまでに延々と物語が続くという構成なので、『トリストラム・シャンディ』が好きな人は必読。

これ以降は半分与太話なのだけど、このところ映画『ダスト』(2001年: マケドニア出身のミルチョ・マンチェフスキー監督・脚本)、『アララトの聖母』(2002年: アルメニア系のアトム・エゴヤン監督・脚本)と来て、この小説『ミドルセックス』(2002年: ギリシャ系のジェフリー・ユージェニデス作)と、トルコ周辺にルーツを持つ民族がトルコ軍の侵攻・虐殺によって新大陸に逐われた、という経緯から20世紀を縦断する視点を示してみせるフィクションを続けて見かけて、ちょっと気になっている。

もっとも、この三作はどれも「歴史は主観的にしか語り伝えることができない」というような(ポストモダン的?)見地を踏まえているので、単純に「トルコ=悪」と決めつけるようなことはしていないのだけれど。でもそのうちトルコ系作家の逆襲があるんじゃないだろうか、と思ったりする。