ヤン・シュヴァンクマイエル短篇集

渋谷シアターイメージ・フォーラムのhttp://www.imageforum.co.jp/svank/、Fプログラムの短篇集を鑑賞。上映作品は以下の通り。

自然の歴史(組曲) / 部屋 / 対話の可能性 / 地下室の怪 / 陥し穴と振り子 / 男のゲーム / セルフポートレート / 闇・光・闇

どうせならなるべくビデオレンタルで見られない作品を、ということでこれを見ることにした。

感想を言うと、思ったほど好みではなかった。チェコといえば旧共産圏なので芸術作品には必ずや政治風刺が含まれているに違いない、と深読みもできるし、それは口実で単に粘土やら何やらを使ってシュールなグロテスク描写をやりたいだけともとれる。

前半は面白いけれどパターンがわかると繰り返しに見える、という作品が多い気がする。

印象に残った作品。「部屋」はもろカフカ風の不条理もの。「対話の可能性」は特に前半部、手間がかかっているなと感心した。「地下室の怪」は『アリス』風の少女によるお使いの話。思えばシュヴァンクマイエルの作品に出てくる綺麗なものは少女だけのような気がする。「陥し穴と振り子」はもちろんポー原作なのだけど「部屋」と同じくカフカ風にも見える。「闇・光・闇」は粘土細工で人間を解体する、そのままの作品。

どの作品でもたいてい、食事という行為がグロテスクに描かれる、食べることは人間が生きることの基本だから、食をグロテスクに誇張することで人間と生を解体する、というような意図があるのだろう。