『ユリイカ』2004年8月号: 特集「文学賞 A to Z」

小説トリッパー』に続いて『ユリイカ』も文学賞特集。

看板の記事は大森望豊崎由美の『文学賞メッタ斬り!』コンビと島田雅彦による「Z文学賞」。対談の内容はそこそこ面白かったけれど(特に島田雅彦の発言は「一人称から三人称に転換するのは作家にとって難しい課題」という指摘など、鋭くて参考になりそうだった)、芥川賞の向こうを張った狭い範囲を何度語っても高が知れているので、新作小説全般の話も聞いてみたかった気もする。

栗原裕一郎(http://d.hatena.ne.jp/ykurihara/)、仲俣暁生(http://d.hatena.ne.jp/solar/)両氏の記事も掲載されていたりして、インターネット/はてな度が高い? 栗原氏の「新人賞選評一気読み」は、たぶん目を通してみたら読み物としてあまり面白くなかったんだろうなという感想。奥泉光選考委員は第5回新潮ミステリー倶楽部賞(2000年: 受賞作『オーデュボンの祈り』)では堂々たる選評を書いているけれど、それ以前はさんざん紆余曲折を経ていたことを知る。

他には、佐藤亜紀に「ファンタジーノベル大賞」を総括させるという、いわば猛犬を放って眺めるような企画もあり。