文学賞について(2)

文学賞の選考委員に文句をつけるのは簡単だけれど、じゃあ逆に良い選考委員、良い選評というのはどういうものか。僕が自分の読んだ「良い選評」といって思いつくのは、奥泉光の「新潮ミステリー倶楽部賞」での選評(伊坂幸太郎『オーデュボンの祈り』(新潮社)の巻末に収録)。

これは短いスペースで各作品を明快に(誰にでもわかる言葉で)論評し、なおかつ小説の面白さとは何だろうかと考えさせてくれる素晴らしい文章だった(興味のある人は読んでみてほしい)。奥泉光の選評をまた読んでみたいものだけれど、ただこの新潮ミステリー倶楽部賞は現在すでに終了(「ホラーサスペンス大賞」に移行)して、奥泉光も選考委員から外れている。